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外国人材 定着支援ガイド

採用戦略コラム

外国人材 定着支援ガイド
〜採用後の「こんなはずではなかった」を防ぐ〜

採用はゴールではなく、スタートです。外国人整備士が貴社で長期的に活躍し、戦力として活躍するために不可欠な定着のポイントを、法令で定められた要件と現場で使えるコミュニケーション術の両面から解説します。

外国人材の採用の成功は、受け入れ後の体制で決まります。多くの企業が採用そのものに注力しがちですが、より重要な課題は、言語や文化の壁を乗り越え、彼らがいかに早く職場に馴染み、能力を発揮できる環境を整えるかにあります。本記事では、長年の支援経験から得られた知見と、関連する法令などを踏まえ、定着を成功させるための具体的なステップを解説します。

ステップ1:期待値のズレを防ぐ入社前の透明性

定着支援は、入社前から始まっています。採用後のミスマッチを防ぐ重要な鍵は、入社前に現実的で正確な情報を、プラス面もマイナス面も包み隠さず伝えることです。

良いことも大変なことも、すべて伝える

残業時間の有無や条件、繁忙期の存在、そして具体的なキャリアプランなどを事前にすべて伝えましょう。そうすることで、入社後の「こんなはずではなかった」という理想と現実のギャップによる不満を軽減・回避できます。

法的義務としての事前ガイダンス

この事前の情報提供は、実は特定技能ビザで外国人を雇用する際に法律で定められた事前ガイダンスという義務でもあります。労働条件や業務内容、入国手続きなどについて、本人が十分に理解できる言語で説明することが求められています。

出典:出入国在留管理庁 特定技能外国人支援計画の概要

ステップ2:やさしい日本語で壁を取り払う

現場での円滑なコミュニケーションは、定着の生命線です。しかし、日本人同士の察する文化や曖昧な表現は、彼らを混乱させ、時には孤立感を深める原因となります。

は・さ・みの法則を意識する

コミュニケーションで推奨したいのが、「はっきり・最後まで・短く」の頭文字をとった、はさみの法則です。特に重要なのがはっきり話すこと。「なるべく早く」ではなく「〇時までに」と具体的に伝えるなど、意図が明確に伝わる言葉選びが、日本人同士のコミュニケーション以上に重要になります。

政府も推奨する、やさしい日本語

このアプローチは、政府も『やさしい日本語』のガイドラインを公式に公表しています。ポイントは以下の通りです。

  • 難しい言葉や専門用語を避け、簡単な言葉に言い換える(例:「終了」→「おわり」)
  • 尊敬語・謙譲語や二重否定(例:「行かないわけではない」)は使わない
  • カタカナ語(和製英語)は通じないことが多いので注意する
  • 写真やイラスト、ジェスチャーも積極的に活用する

指示の理解度を確認する一手間

文化的な背景から、理解していなくても「分かりました」と答えてしまうことがあります。指示を出した後は、「じゃあ、まず何から始めますか?」のように、作業内容を本人の言葉で復唱・説明してもらうことが、理解度のチェックとなり、ミスや事故を未然に防ぎます。

ステップ3:公平性と計画的な支援体制を両立させる

外国人だからと特別扱いすることは、本人の自立を妨げるだけでなく、日本人スタッフの不満にも繋がります。しかし、必要な配慮を怠ることは、法令上の要件を満たせなくなる可能性や早期離職を招きます。このバランスを取ることが、マネジメントの鍵です。

特別扱いではなく公平な機会を提供する

基本は、日本人スタッフと公平に接することです。ミスをした場合は、他の社員と同様にきちんと指導します。ただし、その際は個室で1対1になるなど、人前で尊厳を傷つけない配慮が有効です。また、叱責で終わらせず、「褒める→注意・指摘→褒める」という構成で伝えることで、前向きな行動変容を促せます。

法律で定められた支援計画

実は、特定技能1号の外国人には、国が定めた10項目の支援(支援計画)を行うことが企業の義務となっています。これには住居確保の支援、日本語学習機会の提供、相談・苦情への対応、日本人との交流促進、3ヶ月に1回以上の定期面談などが含まれます。
定期的な交流会や相談窓口の設置は、単なる親切心ではなく、企業の法的義務なのです。この計画をきちんと実行することが、重要な定着支援策となります。

出典:出入国在留管理庁 1号特定技能外国人支援計画の概要

外国人材の定着は、個人の頑張りや偶然に頼るものではありません。

入社前の透明な情報提供、日々の業務における分かりやすいコミュニケーション、そして法律に基づいた計画的な支援体制。この3つの柱を組織として実行することが、彼らが安心して長く働ける環境を作り、企業の持続的な成長を支える人的資産の強化に繋がるのです。

この記事の監修者、採用コンサルタント 津田春生

本記事の監修者

津田 春生(つだ はるお)

採用コンサルタント

人材サービス業界歴21年の経験を活かし、数多くの企業の外国人材採用・定着を支援。外国人就労制度に関する知見から現場のコミュニケーションまで、幅広くサポートしている。

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